小説家から学ぶ表現、描写

小説を書くための表現方法を小説家から学ぶ

悲しみ

氷の欠片を落としたように

S君の言葉は、ぽつんと氷の欠片を落としたように、僕の心を冷たくした。 「人間は、嫌だったんだ……」 向日葵の咲かない夏posted with ヨメレバ道尾秀介 新潮社 2008年08月 楽天ブックス楽天koboAmazonKindle7net ebookjapan

胸に錐(きり)が刺さったようになる。

有川浩さんの県庁おもてなし課より 喬介が荷造りするたびに、家をあけるたびに胸に錐(きり)が刺さったようになる。 喬介が家にいる日々はいつか終わるのだと。 県庁おもてなし課posted with ヨメレバ有川浩 角川書店 2011年03月 楽天ブックス楽天koboAmazonK…

かさついた骨片と白い灰になった

大事なことほど小声でささやく 森沢明夫 工場の煙が海風に霧散し、消えゆく様をぼうっと眺めながら、四海は三年前の「あの日」を憶(おも)った。五歳になったばかりの娘、葉月が、かさついた骨片と白い灰になった「あの日」だ。 大事なことほど小声でささやく…

下まぶたに、ぷっくりと透明なしずくが浮かび上がった。

大事なことほど小声でささやく 森沢明夫 やがて、娘の両目の下まぶたに、ぷっくりと透明なしずくが浮かび上がった。最初のしずくがぽろりと頬を伝い落ちると、そのあとは立て続けに流れた。 大事なことほど小声でささやくposted with ヨメレバ森沢明夫 幻冬…

丸く毛の抜けた地肌

有川浩さんの空飛ぶ広報室の表現、描写 俄に呼吸が浅くなった。 ーーまだ全然乗り越えられてなどいない自分に直面させられる。髪を洗う指先が丸く毛の抜けた地肌を捉えた感触がまるで昨日のことのように思いだされた。恐いと思ってしまった自分が忌々しくて…

感情 「悲しみ」

小説の表現、描写 「悲しみ」クライマーズ・ハイ 横山秀夫 上司のメッキが剥がれるたび、悠木の心はささくれ立ったものだった。失望は大きく、それは後々まで尾を引いた。 虹の岬の喫茶店 森沢明夫 わたしは、湿っぽいため息を漏らした。祥子のことを憶うと…