小説家から学ぶ表現、描写

小説を書くための表現方法を小説家から学ぶ

森沢明夫

寝癖で後頭部の髪の毛をアンテナみたいに立てた

森沢明夫さんの水曜日の手紙より 「夜中からずっと胃がしくしく痛くてさーー、悪いけど、朝食、おかゆにしてくれる?」 寝癖で後頭部の髪の毛をアンテナみたいに立てた夫が、パジャマの上からお腹をさすりつつそう言った。 水曜日の手紙posted with ヨメレバ…

パリパリと音を立てて剥がれ落ちていく。

森沢明夫さんの水曜日の手紙より わたしのなかに君臨していた伊織の優雅な笑顔ーー、それが、表面からパリパリと音を立てて剥がれ落ちていく。 水曜日の手紙posted with ヨメレバ森沢 明夫 KADOKAWA 2018年12月07日 楽天ブックス楽天koboAmazonKindle7nethon…

くぐもった声

森沢明夫さんの水曜日の手紙より マスクの下から「はい」というくぐもった声がいくつか聞こえてきた。 水曜日の手紙posted with ヨメレバ森沢 明夫 KADOKAWA 2018年12月07日 楽天ブックス楽天koboAmazonKindle7nethonto ebookjapan

無数の埃がきらきらと舞っている

森沢明夫さんの水曜日の手紙より 小さな窓からはレモン色の朝日が差し込んでいて、その光をよく見ると、無数の埃がきらきらと舞っているのが分かる。 水曜日の手紙posted with ヨメレバ森沢 明夫 KADOKAWA 2018年12月07日 楽天ブックス楽天koboAmazonKindle7…

高い天井に吸い込まれて消えた。

森沢明夫さんの水曜日の手紙より なるほど「孤食」とはよく言ったものだ。 里穂を東京に出したら、毎晩、自分はこんな気分で食事をとることになるのかーー。 私はスプーンを置いて、立ち上がった。 そして、冷蔵庫から缶ビールを持ってきて、缶のままごくご…

焼けるようなアルコールの熱さ

森沢明夫さんの水曜日の手紙より ぼくはロックのバーボンをゴクリと音を立てて飲んだ。 摂氏零度に近い液体が喉をキュッと冷やし、すぐにそれが焼けるようなアルコールの熱さに変わる。 水曜日の手紙posted with ヨメレバ森沢 明夫 KADOKAWA 2018年12月07日 …

肺を洗うような海風

森沢明夫さんの水曜日の手紙より さりげなく深呼吸した。肺を洗うような海風の清々しさに、どこか救われる思いがした。 水曜日の手紙posted with ヨメレバ森沢 明夫 KADOKAWA 2018年12月07日 楽天ブックス楽天koboAmazonKindle7nethonto ebookjapan

草むらが楽しげに揺れ

森沢明夫さんの水曜日の手紙より 背後の磯からは、ざん、ざん、と岩に砕ける波の音が聞こえてくる。海風が吹くと足元の草むらが楽しげに揺れ、そして、相変わらず青空から鳶の歌が降ってくる。 水曜日の手紙posted with ヨメレバ森沢 明夫 KADOKAWA 2018年12…

背中は、弓のようにピンと伸びていて

森沢明夫さんの水曜日の手紙より 絵筆一本で人生を成立させようと踏ん張っている元同期の背中は、弓のようにピンと伸びていて、ぼくの目には悲しいくらいまぶしく映るのだった。 水曜日の手紙posted with ヨメレバ森沢 明夫 KADOKAWA 2018年12月07日 楽天ブ…

寝癖がアンテナみたいに

森沢明夫さんの水曜日の手紙より 古びた廊下の軋む音がした。リビングのドアが開き、だるそうな顔をした夫が入ってくる。後頭部のひどい寝癖がアンテナみたいに上を向いているのがおかしい。 水曜日の手紙posted with ヨメレバ森沢 明夫 KADOKAWA 2018年12月…

心が石のように冷たくなっていた。

森沢明夫さんの水曜日の手紙より わたし、どんだけ毒にまみれた人生を過ごしているんだろう? 考えたら、心が石のように冷たくなっていた。 水曜日の手紙posted with ヨメレバ森沢 明夫 KADOKAWA 2018年12月07日 楽天ブックス楽天koboAmazonKindle7nethonto …

ため息のもとを霧散させてくれた。

森沢明夫さんの水曜日の手紙より 夫のフォローは、わたしの喉の奥に溜まっていたため息のもとを霧散させてくれた。 水曜日の手紙posted with ヨメレバ森沢 明夫 KADOKAWA 2018年12月07日 楽天ブックス楽天koboAmazonKindle7nethonto ebookjapan

土のように重たい身体

森沢明夫さんの水曜日の手紙より わたしは大きなレジ袋を両手にぶら下げて住宅街を歩いた。とぼとぼと、土のように重たい身体を引きずって。 水曜日の手紙posted with ヨメレバ森沢 明夫 KADOKAWA 2018年12月07日 楽天ブックス楽天koboAmazonKindle7nethonto…

声を背中ではじき返した

森沢明夫さんの水曜日の手紙より すれ違いざま、その犬に「キャン」と吠えられた。 わたしは舌打ちして、「最悪」と、おばあさんの耳に届くほどの声を出していた。 「ご、ごめんなさい」 おばあさんの声を背中ではじき返したとき、わたしは駆け出していた。 …

視線を泳がせながら

森沢明夫さんの水曜日の手紙より こじれた空気のなか、わたしたちはそれぞれ冷めきった紅茶を啜った。そして、視線を泳がせながら、次の台詞を探していた。 水曜日の手紙posted with ヨメレバ森沢 明夫 KADOKAWA 2018年12月07日 楽天ブックス楽天koboAmazonK…

みぞおちのあたりが空っぽになってしまったような

森沢明夫さんの水曜日の手紙より ここまで本心を口にしていたら、きっと涙が出てしまうだろうなーー、と思いながらしゃべっているのだけれど、実際、わたしの目は潤むことすらなかった。むしろ、みぞおちのあたりが空っぽになってしまったような、ぽかんとし…

後悔が胸のなかで一気に膨れ上がり

森沢明夫さんの水曜日の手紙より 後悔が胸のなかで一気に膨れ上がり、嫌な熱を持ちはじめた。 水曜日の手紙posted with ヨメレバ森沢 明夫 KADOKAWA 2018年12月07日 楽天ブックス楽天koboAmazonKindle7nethonto ebookjapan

記憶の回路がピタピタと

森沢明夫さんの水曜日の手紙より 伊織の声を聞いているうちに、記憶の回路がピタピタと音を立てて繋がっていく気がした。 水曜日の手紙posted with ヨメレバ森沢 明夫 KADOKAWA 2018年12月07日 楽天ブックス楽天koboAmazonKindle7nethonto ebookjapan

ゆっくりと像を結びはじめた。

森沢明夫さんの水曜日の手紙より わたしの脳内のスクリーンに、あの頃の風景がゆっくりと像を結びはじめた。 水曜日の手紙posted with ヨメレバ森沢 明夫 KADOKAWA 2018年12月07日 楽天ブックス楽天koboAmazonKindle7nethonto ebookjapan

黒い靄(もや)を吐き出すように

森沢明夫さんの水曜日の手紙より わたしは胃のあたりに生じた黒い靄(もや)を吐き出すように口を開いた。 水曜日の手紙posted with ヨメレバ森沢 明夫 KADOKAWA 2018年12月07日 楽天ブックス楽天koboAmazonKindle7nethonto ebookjapan

チクチクした疎外感

森沢明夫さんの水曜日の手紙より 「そうなんだぁ」 ため息みたいに言いながら、わたしはチクチクした疎外感に耐えていた。 水曜日の手紙posted with ヨメレバ森沢 明夫 KADOKAWA 2018年12月07日 楽天ブックス楽天koboAmazonKindle7nethonto ebookjapan

緑風が、さらりと襟元を吹き抜けた。

森沢明夫さんの水曜日の手紙より 五月の緑風が、さらりと襟元を吹き抜けた。 無垢の木で作られた瀟洒(しょうしゃ)なカフェテラス席ーー。 豊かな香りのアールグレイが注がれた白いカップのなかで、木漏れ日がひらひらと揺れた。 水曜日の手紙posted with ヨ…

黒いツインテールをどこか淋しげに揺らした。

大事なことほど小声でささやく 森沢明夫 風はカオリちゃんの黒いツインテールをどこか淋しげに揺らした。 大事なことほど小声でささやくposted with ヨメレバ森沢明夫 幻冬舎 2015年08月05日 楽天ブックス楽天koboAmazonKindle7nethonto ebookjapan

土の匂いのする冬めいた風

大事なことほど小声でささやく 森沢明夫 少し土の匂いのする冬めいた風が吹いていた。街路樹の落ち葉がかさかさと音を立てて、二人の足元を転がりながらすり抜けていく。 大事なことほど小声でささやくposted with ヨメレバ森沢明夫 幻冬舎 2015年08月05日 …

秒針の音が、さっきより室内に降り積もっていた。

大事なことほど小声でささやく 森沢明夫 チ、チ、チ、チ、チ……。 秒針の音が、さっきよりも室内に降り積もっていた。 大事なことほど小声でささやくposted with ヨメレバ森沢明夫 幻冬舎 2015年08月05日 楽天ブックス楽天koboAmazonKindle7nethonto ebookjap…

瞳には光がなかった。

大事なことほど小声でささやく 森沢明夫 優しそうな形をした目も、焦点が結ばず、瞳には光がなかった。 大事なことほど小声でささやくposted with ヨメレバ森沢明夫 幻冬舎 2015年08月05日 楽天ブックス楽天koboAmazonKindle7nethonto ebookjapan

瞳には光がなかった。

大事なことほど小声でささやく 森沢明夫 優しそうな形をした目も、焦点が結ばず、瞳には光がなかった。 大事なことほど小声でささやくposted with ヨメレバ森沢明夫 幻冬舎 2015年08月05日 楽天ブックス楽天koboAmazonKindle7nethonto ebookjapan

銀縁メガネの奥の目が細い三日月のようになった。

大事なことほど小声でささやく 森沢明夫 カオリちゃんがにっこり微笑むと、銀縁メガネの奥の目が細い三日月のようになった。 大事なことほど小声でささやくposted with ヨメレバ森沢明夫 幻冬舎 2015年08月05日 楽天ブックス楽天koboAmazonKindle7nethonto e…

窓の外はレモン色の朝日で満たされていた。

大事なことほど小声でささやく 森沢明夫 権田がようやくまどろみはじめた頃には、もう、窓の外はレモン色の朝日で満たされていた。 大事なことほど小声でささやくposted with ヨメレバ森沢明夫 幻冬舎 2015年08月05日 楽天ブックス楽天koboAmazonKindle7neth…

銀色の雨の糸に淡く霞んでいて、……

大事なことほど小声でささやく 森沢明夫 スナックひばりのある裏路地は、銀色の雨の糸に淡く霞んでいて、なんだか夢のなかのように穏やかに見えた。 大事なことほど小声でささやくposted with ヨメレバ森沢明夫 幻冬舎 2015年08月05日 楽天ブックス楽天koboA…