小説家から学ぶ表現、描写

小説を書くための表現方法を小説家から学ぶ

涙の味のする唾

「それはーー本当なんだな」 話の途中から半分浮かせていた腰を、最後には完全に持ち上げて、岩村先生は厳しい顔で僕を見下ろした。僕は涙の味のする唾を呑み込んで、一度だけうなずいた。 向日葵の咲かない夏posted with ヨメレバ道尾秀介 新潮社 2008年08…

飲んだ息がそのまま嗚咽になる。

有川浩さんの県庁おもてなし課より 「それを喋るな! 黙っちょけ!」 掛水が怒鳴りつけると、多紀は息を飲んだ。飲んだ息がそのまま嗚咽になる。 県庁おもてなし課posted with ヨメレバ有川浩 角川書店 2011年03月 楽天ブックス楽天koboAmazonKindle7nethonto

あの灯台の灯りさえもしぼんで消えてしまった。

大事なことほど小声でささやく 森沢明夫 明るかったはずの由佳の表情から、血の気が失せていくのが分かった。瞳の奥に優しく灯っていた、あの灯台の灯りさえもしぼんで消えてしまった。やがて焦点が曖昧になった由佳の両目から、ぽろりぽろりとしずくがこぼ…

目頭の熱を散らし、なんとかこらえた。

大事なことほど小声でささやく 森沢明夫 さらに《追伸》を読んだとき、うかつにも涙ぐみそうになったけれど、公衆の面前だけに、本田は深呼吸をして目頭の熱を散らし、なんとかこらえた。 大事なことほど小声でささやくposted with ヨメレバ森沢明夫 幻冬舎 …

下まぶたに、ぷっくりと透明なしずくが浮かび上がった。

大事なことほど小声でささやく 森沢明夫 やがて、娘の両目の下まぶたに、ぷっくりと透明なしずくが浮かび上がった。最初のしずくがぽろりと頬を伝い落ちると、そのあとは立て続けに流れた。 大事なことほど小声でささやくposted with ヨメレバ森沢明夫 幻冬…

人物 「涙」

たまちゃんのおつかい便 森沢明夫 あったかいしずくは、まだしばらく止まりそうにないけれど、泣き笑いのわたしはもうすでに、いい気分だった。 たまちゃんのおつかい便 森沢明夫 わたしは、ほぼ泣きっぱなしだった。しずくをこぼせばこぼすほどに、心がその…