小説家から学ぶ表現、描写

小説を書くための表現方法を小説家から学ぶ

人物の表現、描写 「ため息」

友罪 薬丸岳

 さちこさんの家にたどり着くと、溜め息をひとつついてベルを鳴らした。

たまちゃんのおつかい便 森沢明夫

 わたしは、こぼれそうなため息を、美味しいご飯粒と一緒に飲み込んだ。

たまちゃんのおつかい便 森沢明夫

 わたしはぐったりとシートに背中をあずけた。半開きの唇からは、空っぽなため息がこぼれた。

歪んだ蝸牛 田中経一

 当たり障りのない五味の答えは、凜が期待したものではなかったようだ。凜は一つため息をつくと、話の方向をすぐに変えた。

刑事のまなざし 薬丸岳

 ナカさんが死んだらどうなるのだろうか。雅之以外の誰にも知られることなく、無縁仏としてひっそりと葬られることになるのだろうか。
 雅之は漏れそうになる溜め息を必死に押し留めた。

刑事のまなざし 薬丸岳

 美羽が重い溜め息をついた。

刑事のまなざし 薬丸岳

 こんなご時世に贅沢なことを言っているなーー漏れそうになる溜め息を飲み込みながら思った。


刑事のまなざし 薬丸岳

 客が店から出て行くと、聖治はシンクに両手をついて重い溜め息を漏らした。


ミーコの宝箱 森沢明夫
 そんなことを思うと、なんともやり切れなくて、湿ったため息がこぼれてしまうのだ。

 わたしの口から、ため息が漏れた。
 パッとしない、真っ黒なため息だった。

 いい加減な返事をして、お母さんはストレスの塊みたいなため息をついた。

 たいして強くもないのに飲み過ぎたせいか、街のきらめきが普段より三割増しに感じられて、僕は思わず白い息を吐き出した。ため息だ。