小説家から学ぶ表現、描写

小説を書くための表現方法を小説家から学ぶ

感情 「恋愛」

小説の表現、描写
「恋愛」

ヒカルの卵 森沢明夫

 わたしの感情は、いつの間にか干上がった田んぼみたいにひび割れていて、もう恋愛を出来るような潤いは一滴も残されていなかったのだ。


友罪 薬丸岳

 人波にまぎれてこちらに向かってくる鈴木の姿が見えた。
 美代子は飛び出しそうな心臓を押さえるようにしながら小さく手を振った。


友罪 薬丸岳

 抗いきれない磁力に引き寄せられるように、美代子はすぐ目の前にいる鈴木に顔を近づけていた。


女神のタクト 塩田武士
 明菜が彼の息遣いを肌で感じ取ったとき、いたわるような響きを持つノックの音がした。
 二人はとっさに体を放した。
 明菜は我に返るように目を丸くし、拓斗は続けて男性的な視線を送る。そんな気配を察しているのか、松浦はドアを開けずに静かな声で始まりを告げた。
「マエストロ、時間です」