小説家から学ぶ表現、描写

小説を書くための表現方法を小説家から学ぶ

風景 「星」

小説の表現、描写
「星」

夏美のホタル 森沢明夫

 冬の夕暮れは無慈悲なまでに早かった。
 夕方になったかな、と思ったら、力ない太陽はいきなり浮力を失って、ストンと一気に山の端に落ちてしまうのだ。
 いま、淡いすみれ色に染まりつつある東の空には、一番星がチリチリと瞬いていた。今日も間もなく、冷たくてしめやかな冬の闇が、この小さな山里をぱくりと飲み込んでしまうのだ。