小説家から学ぶ表現、描写

小説を書くための表現方法を小説家から学ぶ

顔 「目」「瞳」

小説の表現、描写 
「目」「瞳」

(たまちゃんのおつかい便 森沢明夫)
 わたしはシャーリーンのくりっとした鳶色の瞳の美しさに見とれそうになった。

唇を真一文字に引いたシャーリーンの目に、暗い光が揺れたように見えた。

歪んだ蝸牛 田中経一
 凜の組まれた両の拳にさらに力が入った。五味に気を許すまいという気持ちの表れなのだろう。
 五味が覗き込んだ二重瞼の奥にある瞳孔は、こちらを呑み込まんばかりに広がっていた。

刑事のまなざし 薬丸岳
どこか憂いを帯びた大きな瞳が舞を年齢よりも大人びて見せるのだろうか。

ミーコの宝箱 森沢明夫
 おばあちゃんは皺に埋もれた優しそうな目で微笑んでくれた。

 頬から唇を離したら、淡い光のなか、ミーコのまぶたが花びらのようにゆっくりと開いた。

 室内が、ふと静かになる。
 だが、すぐにパタパタと軽快な足音を立てて、チーコがリビングに飛び込んできた。そして、俺を見るなり、つやつやの大きい目をいっそう丸くして、無垢な笑顔を咲かせた。

償い 矢口敦子
広恵はこぼれ落ちそうなほどに大きな目になって、一瞬日高を睨みつけた。

「何を考えているの」
声がした。知的に冷たい二つの瞳が、日高見ていた。

真相 横山秀夫
パソコンの手を止めた陶子の三白眼が尖っていた。弁当に箸もつけられないほどの忙しさだ。